研究内容

様々な情報システムにおいて観測される不規則/不確定な現象を確率/統計的手法により分析・モデル化し、その背後にある数理的な構造や共通的な特性を探り出して問題解決に結び付けていくというアプローチによる研究を行っています。特に、ネットワーク技術やデータ分析技術を中心に、それらの境界分野や関連分野を含んだ幅広い領域を対象とした研究に取り組んでいます。

ネットワークトラヒック/トポロジに関する研究

ネットワークを適切に設計・制御・管理・運用する上で重要となる、トラヒック特性の測定・推定技術や、ネットワークの利用状況や構造の確率モデルに関する研究に取り組んでいます。

研究事例

  • 直接観測することが困難なネットワーク上の大域的な対地間トラヒックフローの流量を、それらが通過するルータにおいて容易に観測できる集約されたフロー流量から推定するための手法であるネットワークトモグラフィ(トラヒック行列推定)に関する研究
  • 長時間にわたって大量のパケットを流すトラヒックフローを、一部のパケットを計数周期的にサンプル計測するのみで特定することのできるベイズ統計に基づいた手法に関する研究
  • 時間周期的にサンプル計測されたパケット集合の統計的な偏りに着目した異常トラヒック検知手法に関する研究
  • 自然災害などの稀にしか発生しない現象を取り扱うための統計手法であり金融工学等におけるリスク管理などへも応用されている極値理論に基づいたピークトラヒック推定手法に関する研究
  • 観察期間が限られた臨床試験の結果から患者の生存時間を評価するための統計手法である生存時間分析を応用したトラヒックフロー持続時間推定手法に関する研究
  • 日本国内で発生した重大な通信事故の発生状況(発生間隔、継続時間、影響利用者数等)の統計分析に関する研究
  • ランダムに生成されたIPアドレスを攻撃対象とするコンピュータウィルスの拡散過程の確率モデルに関する研究
  • 情報ネットワークや社会ネットワークなどの様々な実ネットワークのトポロジ生成過程に着想を得た確率モデルである閾値ネットワークモデルにおける普遍的なスケールフリー性に関する研究

ネットワーク資源割り当てに関する研究

通信資源、記憶資源、計算資源などのネットワーク資源の有効利用を実現するための様々な制御手法や基礎数理の構築に関する研究に取り組んでいます。

研究事例

  • 既存のネットワーク設備を大きく変更せずに通信資源の有効利用を実現するための技術として、オーバーレイネットワークと呼ばれる論理ネットワークを用いた学習機能を持った経路制御手法に関する研究
  • 集中制御機構を持たないネットワークのための制御手法として、非構造型P2Pファイル共有ネットワークにおける記憶資源を有効利用するための拡散現象に着想を得た確率的ファイル複製配置手法に関する研究
  • 不特定多数のユーザが、自身の所有する記憶資源(ストレージ)の未使用領域の一部を共用するというP2P データストレージシステムにおけるユーザ行動(需給関係)モデルに関する研究
  • 次世代移動体通信方式におけるデータ転送の誤り確率を考慮した無線チャネル割り当て方式に関する研究
  • 大規模災害時のように広帯域・低遅延を前提とできない劣通信環境下における情報通信技術であるDTN(Delay-, Disruption-, Disconnection- Tolerant Network)に関する研究
  • ネットワーク資源割り当てにおける公平性基準の情報量による特徴付けに関する研究
  • ユーザの満足度を考慮したネットワーク資源割り当てのための不動点理論を応用した最適化手法に関する研究

機械学習とその応用に関する研究

機械学習の基礎理論の構築と実用的なアルゴリズムの開発、及び、機械学習技術の実問題への応用研究を行っています。

研究事例

  • 複数の予測機構の統合によって予測能力の向上を図る機械学習の手法として知られるアンサンブル学習のアルゴリズム構造の一般表現を与える確率モデルの提案や情報量による特徴付けに関する研究
  • 確率測度に対してのみ定義可能な従来の情報量を、一般の正値有限測度に対しても定義可能とするための拡張形式、及び、計算手続が簡便なロバスト学習との関連や、ネットワーク資源割当における公平性基準との関連に関する研究
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